仮想空間とデジタル編集
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久島
兵ちゃん

1 はじめに

 最近、テレビ番組のニュ−スのオ−プニングやコマ−シャルで、実際に撮影できないはずの映像や、立体的なアニメ−ションが多く登場するようになったのにお気付きでしょうか?
 それは仮想の空間上に立体的な模型が動き、デジタル編集という方法により映像になったものです。
 現在、○○学校における座学教育も、OHPを使用した旧来の教育からコンピュ−タや液晶プロジェクタ−等を利用した、プレゼンテ−ション方式の教育へと移行しつつあり、学生の理解度の向上に大きく貢献しているところであります。
 しかしながら、昨今のコンピュ−タの目覚しい発達を考えれば、単に静止画から動画へだけではなく、動画から立体画へ、或いはコンピュ−タ画像とビデオ画像との組み合わせへと、より効果のある教育を目指し、研究して行く必要があると思います。
 そこで今回は、コンピュ−タを利用した映像について、簡単にその一端を紹介します。

2 3DCG(注1)の作成

 3DCGはCAD(注2)の延長として出発し、1980年代ごろから娯楽性を持ったグラフィックスとして、テレビや映画(SFX)用に、迫力のある映像や現実には撮影することの出来ない映像を作るために積極的に利用されるようになりました。

(1)仮想空間と3DCGとは

   コンピュ−タ上に作られたX.Y.Zの座標を使い3次元で表現された空間、つまり3Dのことを言い、コンピュ−タで立体的に作成した映像を3DCGといいます。

(2)3DCG作成ソフト

   ソフトは模型を作る機能と動画を作る機能からなり、各ソフト毎にサポ−トされる機能が違うため数本のソフトを組み合わせて使います。

(3)作成方法

    3DCGの作業工程はスタジオで映画を撮っているのと同じで、パソコン上のバ−チャルスタジオ(仮想スタジオ)で作業します。
 模型を作り(図1)、色を塗り材質感(図2)をだし、より立体感をだすために照明で陰影をつけます。
 作成した模型をどういう一枚の絵にするか構図を考え、カメラの撮影範囲を決めれば一枚の静止画が作成できます。

 また、カメラを移動させ模型の動きを設定したら動画を作成することができます。
 カメラワ−クが決まったらパソコンのファイルにするレンダリングと呼ばれる処理を行うことにより、模型の形状、色、材質、光、動き等の様々な要素を計算し完成します(図3)。

3 ビデオのデジタル編集

 現在の編集では、ビデオ信号及び音声信号をアナログ信号化して記録しています、アナログ信号での記録では同じ信号を繰り返し複製していくと、ビデオ信号の劣化(解像力、色にじみ、輝度の減衰等)が著しいという問題点が出てきます。
 S-VHS規格のビデオテ−プを例にとると、実用的な繰り返し複製限度は2回程度です。
 撮影したテ−プの順番を入れ替えるカット編集だけならば、アナログ信号記録でも良いのですが、完成した作品を複製し、多人数に配布する場合等、最低でも3回の複製を実施することになり、画質の劣化は避けられません。
 そのため最近では、アナログ信号記録方式から、ビデオ信号の劣化が少ないデジタル信号記録方式を利用した編集が行われるようになりました。
 デジタル信号記録方式では、原理的に言えば何回複製を繰り返しても撮影テ−プと同じ画質を保てるわけです。
 編集方式のうちコンピュ−タを使用して行う編集をノン・リニア編集といい、コンピュ−タの性能向上により、映像の膨大なデ−タをビデオテ−プ無しで処理できるようになりました。

(1)デジタルビデオ編集用ソフト 

   デジタルビデオ編集用のソフトは、一般的に「ビデオ・エディタ」と呼ばれます。

(2)ハ−ド・ウェア

   ビデオテ−プからの素材の取り込みには、専用の「キャプチャカ−ド」(注3)と呼ばれるハ−ドウェアが必要であり、動画を記録する記憶媒体:ハ−ドディスクの容量も通常のパソコンより一桁大きく、圧縮されていないフルサイズの動画では、1秒記録するのに1コマが921.6キロバイト×30コマ=27,648キロバイトも必要になり、フロッピ−ディスクに換算すると19.2枚になります。

(3)素材の取り込み

   Windows95が動いているパソコンで使用できるデ−タがそのまま使用できます。
 パソコンで作成した3DCGは勿論のこと、ビデオ、レ−ザ−ディスク、テレビ等の動画はキャプチャカ−ドを使い、写真や絵等はスキャナ−かデジタルカメラ、音声や効果音、音楽等はサウンドカ−ドを使い、編集ソフトに素材として呼び込むことができます。

(4)編集方法

   一般的にビデオ・エディタでの編集は、動画、音、静止画等の素材を呼び込み、表示させたい順序にマウスを使って素材を編集画面に置き、字幕などは、表示効果を使い表示させます。
 最後に動画ファイルを作成する操作をすると複数の素材からパソコン用動画ファイル及び、ビデオ出力用動画ファイルが作成されます。













4 これからの教材作成用コンピュ−タ

(1)パソコン側の環境
 3DCGもデジタルビデオ編集もWindows 95になってからパソコンでも業務用のコンピュ−タレベルには及ばないものの、高性能で比較的安価に3DCGを作成でき、デジタル編集を行える環境になりました。


(2)編集用機材側の環境
 現在のビデオ編集機材は過渡期に入っているため、費用対効果の面からパソコンを使用したノン・リニア編集と従来の編集の複合型が一般的です。


(3)効果
 3DCGで航空機や構成品の精密な模型を作れば、材質や光等を設定し、実物では見ることのできない色々な角度から見ることができ、その航空機をフライトさせれば撮影不可能な映像を作成できますので視聴覚教材として使用することにより教育効果が向上します。
   

5 おわりに

 この記事を書くにあたって、パソコンレベルで、ソフトの操作及び機材の接続方法等を検証しました。
 その結果、現在の低価格の機材でも、時間をかければ3DCGを作成できることが確認できました。
 近い将来、各教場のコンピュ−タ画面に、立体的な戦闘機や、作動中のエンジン内部等がより実感的に映し出され、これらを活用した教育により、更に優秀な整備員を育成できる日が来ることを期待したいと思います。





注1 3-Dimensions Computer Graphics
   3次元で表わした画像

注2 Computer Aided Design
   コンピュ−タ利用の設計技法

注3 キャプチャ−カ−ド
   アナログ信号をデジタル映像信号に変換する部品



筆者プロフィ−ル

 久島

 写真から、ビデオ撮影まで映像の専門家(職種)教官です。



 兵ちゃん

 「兵ちゃん」は、パソコン通信用ハンドルネーム、手紙とかで言うペンネームです。




この文章解説

 この「仮想空間とデジタル編集」は、一部変えてありますが浜松に在る整備員の学校にて年2回発行している「○○校記事」なる出版物(部内のみ)に載せたものです。
 内容としては、教材を作成する過程で、コンピュータを使用した3Dのアニメーションからビデオキャプチャ、ビデオテープへの出力、パソコンで扱う動画までを広く浅く初心者向けに説明したものです。
 映像の専門家である、久島氏により評価されこの文章は書かれました。


兵ちゃんの個人的な意見

 DTVの世界は、パソコン・マニヤの物ではなく、映像屋さんの物である事を実感した。
 この「仮想空間とデジタル編集」は、コンピュータからの視点だけではなく、映像屋さんからの視点も加わり、DTVの世界が広がるものだと考えます。
 映像屋さんにコンピュータの世界へ、DTVの世界へ進んで欲しいものです。(目指せハリウッド???)